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開店休業の記

今日の本

戦国の忍び

 「戦国の忍び」(平山優:著 KADOKAWA)、読了。

 今も昔もフィクションの世界で大人気の忍者。その忍者のモデルは戦国の忍び。史料が少ないこともあって大衆人気はあるんですが(むしろあったから?)歴史学の世界ではキワモノ扱いされていた忍びを大真面目に調べてみたという、勇気ある一冊。

 本書によれば、忍び(透波、乱波、草など異名多数)は、現代のスパイと特殊部隊をいっしょにしたような存在だったようですね。照明がごく限られていて夜は漆黒の闇に沈んでいた時代、夜間活動は特殊技能であったとか。秘密裏の活動が中心なので、史料が少ないというのもうなずけます。しかし、彼らの任務は重要で、限られた史料からも戦国大名たちが彼らを多数召し抱えており、その活動の成果如何によって局面の帰趨が左右されたであろうことが理解できました。

 一方で彼らの多くが悪党、アウトローの出自で、雇い主である大名からも鼻つまみ者扱いされていた形跡もあるとか。このあたり、フィクションと実像との落差にショックを受ける方もいそうですが、それもまたよし、歴史を知る楽しみよ。

 著者は甲斐武田氏関連の著作をいくつも出している日本史研究者ですが、忍びについて本格的に調査を始めたのは、ここ5,6年のことだそう。先行研究も少ない中、ご苦労があったろうと思います。ためか、史料収集とその紹介に手いっぱいで考察はまだこなれていない感もありますが、まだこれからの分野ですし。今後の進展に期待。