
「アイヌからみた北海道150年」(石原真衣:篇著 北海道大学出版会)、読了。
2018年は北海道150年だったそうです。なぜ150年かというと、かの地が「北海道」と命名されてから150年の節目ということだったそうです。命名の原案を考えたのは幕末から明治にかけての人・松浦武四郎。わたしは彼に関する本をいくつか読んでいますが、泉下の彼が、このようなことでお祝いになるのを手放しで喜んだかはかなり疑問です。
本書の表紙絵は、松浦武四郎が描いたアイヌの人々です。その命名よりはるか以前からかの地で暮らしていた人々の子孫である、現代のアイヌ人が思う「北海道150年」という本です。それぞれ数ページと短いですが、30人以上の方が文章を寄せており、中にはアイヌの楽器・トンコリの奏者として知られるOKIも含まれています。
編著者によるまえがきには、「お祝いするのはいいけれど、アイヌ人の物語はどこにいったんだろう。そのような素朴な疑問から、本書の企画は始まりました。」とあります。やはり複雑な気持ちになった方は少なくなかったようです。自身の境遇に感じていた葛藤を吐露する方もおられます。
和人(わたしは両親が九州の出身なので、先祖にアイヌはいないでしょう。クマソならありそうですが。)の立場としては「どうしたらいいんだろう」と立ち竦んでしまうような感覚をおぼえる、そんなお話もありましたが、やはり読んでよかったです。
今日の本 − 「静かな大地」
今日の音楽 − 「アイヌと奄美」