
「エセルとアーネスト」(レイモンド・ブリッグズ:作 さくまゆみこ:訳 小学館)、読了。
2016年の同名アニメーション映画の原作です。作者は絵本作家として知られていますが、本作は日本のマンガ同様、コマ割りに吹き出しのセリフが入る形式になっています。子ども向けではないと思います。
わたしは2、3年前に映画館でアニメーションを観ているのですが、あれは原作に忠実だったのですね。
元メイド、ちょっと古風で生真面目なエセル、牛乳配達員、ひょうきんでお調子者のアーネスト、英国のごくふつうの庶民だった二人の40年に及ぶ結婚生活を描いています。
二人が作者の両親ということもあってか、変にドラマティックではなく、地に足がついた描き方ですね。時々、二人のやり取りが噛み合ってないのもご愛嬌というか、実在の夫婦らしいというか。それに政治については支持がはっきり分かれていて、言い合いもしばしば。でも、そうすべき時にはしっかり相手をいたわっているところはなかなか素敵でうらやましい。
活字だけ読んだのでは気がつきにくいことが絵で感じられる、というのもいいです。
二人が生きた時代の英国に興味がある方は、映画ともども、ぜひ。
昨日の映画 − 「存在のない子供たち」・「エセルとアーネスト」