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開店休業の記

今日の本

中国牛鬼蛇神録

 「中国牛鬼蛇神録」(楊曦光《楊小凱》:著 劉燕子:監訳 集広舎)、読了。

 著者曰く、中国版「収容所群島」の記録です。

 著者は1948年に中国共産党高級幹部の子として生まれ、文化大革命時に「造反派」として活動し、1968年に「反革命」の罪で逮捕されて10年間獄中の人となりました。釈放後、経済学の研究に打ち込み、これが認められてアメリカへ留学、博士号取得、さらにオーストラリアに渡って大学教授となり、2004年に逝去しています。初名が楊小凱で、就学期に楊曦光と改名しましたが、釈放後に再び楊小凱に戻したとのこと。

 本書は著者が体験した10年間の獄中生活に基づいて書かれており、そこで出会った「牛鬼蛇神」(日本語にすると妖怪変化というような意味だそうですが、転じて社会のさまざまな悪人を指すとのこと)たちの人物像、有罪とされた経緯、獄中での行動を中心に描かれています。

 「牛鬼蛇神」たちは、著者ら造反派と対立していた保守派、カトリック信者、刑事犯、国民党の関係者など、さまざま。

 内容は苛烈にして凄惨。平和で自由を意識することもなく享受できる私たちからすれば、この混沌、この理不尽は理解を超えていると言ってもいいと思います。これが現実に起きたという事実に気が遠くなりそうです。

 中身の非常に濃い本でした。文化大革命についてもっと知識があれば、もっと多くのものが得られたのにと思うような、己の浅学を残念に感じる内容でもありました。ただ、文化大革命自体、現在に至っても全貌が明らかになったとはいえないようですし、いつ明らかになるとも見通せない状況でありまして。そんな現実にまた気が遠くなりそうです。