
「赤い雪」(勝又進:著 青林工藝舎)、読了。
ネットの書評サイトで紹介されていたのを見て、読んでみることにしました。
作者は1960年代半ばから漫画家として活動し、2007年に亡くなる少し前まで作品を出し続けていたようですが、知名度は決して高くないでしょう。わたしはその書評で初めて知りました。本作には1976年から1985年までの読み切り作品10編が収録されています。
内容は東北地方が舞台の大人向け日本昔ばなし、と言うと雑過ぎますが、そんな感じです。もっとも昔ばなしといっても、セリフ等からして戦前、20世紀前半あたりっぽい時期のが中心です。
絵も内容も朴訥としており、また古めかしくも生々しい艶話風の作品が多く、泥臭い。現代の売れ筋のマンガからは、はるかに遠い作風です。
その一方で、知る人も少なくなったかつての庶民の生活・風俗がしっかりと描かれています。そもそも商業作品で光が当たることが少ない分野でもあり、実際問題として今後こうしたものを肌感覚で描ける人が出てくるとは思えませんから、貴重といえるでしょう。
今は昔。