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開店休業の記

今日の本

遊牧の人類史

 「遊牧の人類史」(松原正毅:著 岩波書店)、読了。

 「遊牧の世界」の著者が、遊牧という生活様式の人類史における位置づけを考察したもので、著者の研究の集成でもあるのでしょうか。

 本書執筆の背景に始まり、現生人類の歩み、遊牧生活の構造、遊牧の起源とその展開へと続いていきます。実に視野の広い内容です。

 一方、遊牧は遠く歴史時代以前に始まったもので当然その起源の記録などはなく、農業文明圏において文字による記録が行われるようになって以後も、遊牧民は自身の記録を残すこと極めて稀でありました。加えて遊牧は痕跡がほとんど残らない生活様式であり、その過去をたどることが非常に困難であることが、まず述べられています。

 そのため、多くを推測に頼らざる得ないのですが、その推測も発見された希少な遺跡の研究と著者自身が遊牧生活を体験したフィールドワークあってこそのもの。

 労作です。