メニュー 蕭寥亭 検索

開店休業の記

今日の本

レンブラントの身震い

 「レンブラントの身震い」(マーカス・デュ・ソートイ:著 冨永星:訳 新潮社)、読了。

 AIの急速な発展に実存的な危機感を感じた数学者である著者による、AI最前線探訪記、的な科学エッセイです。

 非常に秀逸な読み物で大変おもしろかったです。

 厳密な論理性が重要で抽象性の高い数学は、コンピュータととても相性が良さそうですものねぇ、著者の、いずれ失業しかねないという不安は確かに杞憂ではないかも。それを正直に吐露しつつAIがゲーム、絵画、音楽その他広い分野ですでに実現した業績を追いかける著者の姿勢には好感が持てます。

 それにしても、AIの話以上に、現代数学は複雑になりすぎて専門家でもその正当性の検証が困難になっているという現実が怖かったりして。

 AIが人間では手に負えない厄介な問題の解決策を提案してくれるのはいいとして、その解決策がほんとうに妥当なものなのか、それを検証するのもやはり困難で、AI研究の大きな問題の一つになっていると聞きますが、さて。

 最近のAIの急速な進展には、コンピュータに人間の指示した通りのことをさせるのではなく、コンピュータに大量のデータを食わせてコンピュータ自身に学習させる手法(機械学習)の貢献が大なのですが、そうすると必要なデータが手に入るか、あるいはコンピュータに食わせられる形のデータにできるのかが、その分野にAIが進出できるかどうかの鍵になりそう。それ次第で応用範囲が左右されるんでは。

 などと、いろいろ考えさせられる本でした。著者は他にも一般向けの著作があるそうなので、また読んでみよ。