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開店休業の記

今日の音楽 ー Tom Petty フォークシンガー篇

Wildflowers & All the Rest

 故 Tom Petty の諸作の中でも人気の高い "Wildflowers" は、1994年発表のソロ名義の作品。本国ではチャートトップ10入りする大ヒット作でもありました。例によって日本ではサッパリでしたが。

 実は本人、当初は2枚組にしたかったそうですが、諸般の事情により断念したとか(よくケンカしなかったな、Tom )。その後も Tom は2枚組で再発売することを考えていたとのことなのですが・・・(泣)、自身でそれを果たすことはできなくなりました。遺志を継いだ Tom の家族や The Heartbreakers の仲間により、初出時未収録だった曲を含めて今年再発売されました。"Wildflowers & All the Rest" です。

 ややこしいのはCD2枚組のスタンダード・エディション以外にも、枚数の異なるアナログレコード・CDの別エディションが複数発売されていまして、わたしが購入したのはCD4枚組のデラックス・エディション。

 1枚目は当初発表された "Wildflowers" と同じ内容。2枚目が "Wildflowers" 制作時に録音されていたものの外された10曲( Rod Stewart がカバーした "Leave Virginia Alone" を含む)。3枚目は Tom が自宅でレコーディングしていたホームデモ15曲。4枚目は "Wildflowers" の曲を中心としたライブ(各曲、収録時期は異なる)です。

 いいんですな、これが。もとの "Wildflowers" も大好きでしたが、これはさらにいい。

 聴いていて、たしか、ある対談で「フォークシンガーになりたかったんだ」と Tom が言っていたのを思い出しました。そしたら対談相手の Beck に「そんなのになったら、客にはオッサンしか来ないから女の子にもてないよ」と突っ込まれてたっけ。

 最初の発売直後に聴いた時もフォーク系シンガーソングライター方面に寄った作風だなぁと感じたのですが、再編集された本作ではさらにそれが色濃くなったような印象です。

 2枚目も良い曲ばかりで、どういう基準で外されたのか、謎。最初から2枚組だったら Tom は曲順、どうしたかな?

 3枚目はホームデモってこともあるのでしょうが、挑発的なロックンローラーはどこかに行ってしまい、訥々と感傷的に歌う Tom 。こちらバージョンの "Only A Broken Heart" なんか、1枚目バージョンを超える「まあ、おセンチさん!」と言いたくなるような( Tom に殴られるぞ、ヲイ)、Iain Matthews とタメ張れそうなセツナさ全開なんでございますよ。これ演ってんのが "Don't Come Around Here No More" や "Mary Jane's Last Dance" のPVのアノ人と同一人物なんですよ!?

 それが4枚目となりますと、The Heartbreakers の輪郭のはっきりした元気のいい演奏になるわけで、これはこれで良いのですが、趣が変わってしまった感じです。こっちはロックだよね、明らかに。

 同じソロ名義でも1作目の "Full Moon Fever" だと、ポップソング大好き Tom Petty だったりして、けっこう音楽的な振れ幅が大きい人だったことを改めて感じます。

 個人的には、スタンダード・エディションではなく、デラックス・エディションにして正解でした。