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開店休業の記

今日の本

未来の医療年表

 「未来の医療年表」(奥真也:著 講談社)、読了。

 著者はお医者さんですが、現在はビジネスの世界に転じているそう。

 3部構成で、まず医療は今後どのように進化していくかについて著者の予測を提示し、次に一般の人が健康について持っておくべき知識について、最後に未来に向けて日本の医療体制の問題点を指摘しています。

 著者は大部分のガンや糖尿病は2040年頃には治癒可能となり、AI診察も一般化し、さらに長期的には身体の多くの部位で人工臓器が実用化されるとみています。10年、20年といった単位での予測はどんな分野でも難しいので、当たる保証はないでしょうが、今後医療がどういう方面に進んでいきそうか参考になる話で、おもしろいです。

 ある意味、冒険的な内容でもあるので、やはりツッコミどころもいくつか。

 著者は iPS細胞の将来性について、期待していたほど実用化に向けての研究が進んでいないとしてかなり厳しい見方をしています(わたしもこの技術については期待していたので、このくだりはけっこう衝撃的でした)。

 一方で、著者はAI、人工知能に大きな期待を寄せているようなのですが、そこはどうかな、と。人工知能については、画期的な成果が得られて期待されては予想外の問題が発見されて停滞する、といったことが繰り返されてきたように思いますし。医療ではありませんが、AIを使った自動運転の実用化について自動車メーカーの人に「世間が期待しているよりずっと先になる」と言われたこともありますし。iPS細胞同様、壁にぶち当たる可能性もあるのでは?

 また、iPS細胞に人的資金的に集中して投入してきたことが日本の「科学技術戦略上、痛恨のミス」と書いていながら、最後の方で、今や「大国でなくなった日本」は、「ある一点をめがけて集中突破をする覚悟」が必要とも述べていたりして、意地悪く言うと「どっちよ?」ってなところもあったり。