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開店休業の記

今日の本

モロッコ幻想物語

 「モロッコ幻想物語」(ポール・ボウルズ:編 越川芳明:訳  岩波書店)、読了。

 「シェルタリング・スカイ」などで知られるアメリカの作家/作曲家ポール・ボウルズが、移住先のモロッコで採録した庶民の口述による物語12編。

 実に奇妙な味わいです。動物が言葉を話したり魔法をかけたりかけられたりとおとぎ話のようなのがあるかと思えばごく近い時代の実体験談のようなものがあったり、イスラム圏版マジックリアリズム? 元が一般の人の語りであるので、商業作品・小説のようなきちんとしたスジ・起承転結はなく、読み手によって向き不向きはあると思いますが、わたしはわりと好き。一般の人の語りが元になっているという点では、「山怪」と共通するところもあるような、ないような。

 わたしはポール・ボウルズの小説を読んだことはないのですが、解説によれば「ボウルズの翻訳作品の中身は語り部たちのものでも、語りは完全にボウルズの文体である」とのこと。