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開店休業の記

今日の本

平安京はいらなかった

 「平安京はいらなかった」(桃崎有一郎:著 吉川弘文館)、読了。

 趣旨を乱暴にまとめてしまうと、律令制下で作られた平安京は当時の日本の統治組織・国力の実態からすればあまりに過大で、ミもフタもなく言えばムリ・ムダだらけであった、というものです。

 昨今、律令制がどれほど実効性を持っていたのかについては再検討が進められているようであり(本書にも律令の規定にはあったけれど、実際には空文であったという例が挙げられています)、広く見れば本書もその一環とも考えられます。

 著者はもともと中世史の研究者で、律令制の時代は専門ではなかったそうですが、中世の京都の研究をするにもその時代だけを見ていては解明できないことが多く、京都の原点である平安京の創建から調べる必要があると考えたとのこと。

 本来、専門ではない分野であるだけに自身の研究成果より他者のそれにかなり依っている観はありますが、それがむしろ幸いして俯瞰的・総合的でおもしろい内容になったようにも思います。