
「研究不正」(黒木登志夫:著 中央公論新社)、読了。
まず、科学における具体的な研究不正の実例を紹介(近年、日本で社会的にも大きな問題となったSTAP細胞事件を含む)した上で、どのような不正の形態があるのか、科学者が不正を行う動機は何かを検討し、研究不正を防ぐ手段を探っています。
科学に関する本ですが、語り口は平易でまとまりもよく読みやすいです。
何よりもショックだったのは、冒頭で挙げられた、不正や誤りによって撤回された論文の数によるランキングのワースト上位に日本人研究者が多数含まれているということ。この本が発売される半年ほど前の2015年10月時点のワーストトップも日本人・・・(しかも、2位を大差で引き離して・泣)。わたしも研究の真似事をした経験があるだけに、辛いです。
以前読んだ「背信の科学者たち」も研究不正についての本で、こちらの著者はこの問題に関する「古典的名著」としていますが、同書で厳しく評価された野口英世については、他の医学研究者に確認したところ、野口の病原体追跡はたしかに間違いもあったが明らかな功績もあるとのことだそう。少しホッとしました。
今日の本 − 「背信の科学者たち」