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開店休業の記

今日の本

山怪

 「山怪」(田中康弘:著 山と渓谷社)、読了。

 副題が「山人が語る不思議な話」。著者が山深い土地を巡って、そこに住む人たちから聞き取りで採集した、「山」で起こった「怪」しいできごと集というものです。

 地域で伝承されてきた民話とはやや異なり、話者が自分で体験した、あるいは体験者から直接・間接に聞いた話で、それぞれできごとが民話化する以前の原型というか、断片というか、物語といえるほどまとまっておらず、せいぜい「小話」というほどのもの。時間的にも「昔々」という漠然と遠い時点ではなく、現代に近い(昔であっても数十年程度)話ばかりです。また、あくまで一般の人の体験談だけに、オチらしいオチがなかったり、その「怪しいモノ・コト」がいったいなんなのか、説明らしい説明もない話も多いです。その点、職業作家の手によるしっかり作り上げられた怪談とは違いますんで、ご注意を。

 とりとめがないといえばとりとめがないんですが、いつのまにか深山の空気がまとわりついているような読後感はなかなか。おもしろかったです。カバー画に何かピンとくるものがあった方はいかがでしょう?

 深夜の、吹雪の山小屋、自分しかいないはずなのに、だれも来るはずがないのに、「何か」がそこにいる。ただ、そういう状況を想像するだけで怖くなれるものなのですね、うぁぁぁ・・・。