メニュー 蕭寥亭 検索

開店休業の記

今日の本

「移動」の未来

 『「移動」の未来』(エドワード・ヒュームズ:著 染田屋茂:訳 日経BP社)、読了。

 アメリカにおける交通と物流の問題を多面的に追ったもの。「未来」の話もありますが、どっちかというと破綻しかかった「現在」についての話が多いです。

 あくまでアメリカの交通システムのことなので日本とは状況が異なるところも多いと思いますが、なかなか示唆に富んでいます。

 一つあげると、自動車は「世界でもっとも活用されていない資産」なんだそうで・・・。アメリカの平均的な場合、週に14時間しか動いておらず(つまり92%の時間は使われていない)、その維持費は燃料費・保険料その他を考えると週換算・円換算で2万5千円以上かかっていることになるそうです。あれ、ウチ、週14時間も使っていないよな・・・。

 最近話題となる自動運転やライドシェアについても、もちろん取り上げています。自家用車を持つ必要がなくなるし、社会にとっても経済的だし、環境負荷も下げられそうだし、交通弱者にとっても救いの手となりそうということで、個人的には賛成だし、いずれ否応無しにその方向へ進んでいくことになるでしょうが、自動車関連産業にとっては大変革を迫られることにもなりそうです。日本の基幹産業であるだけに良い影響を受ける人ばかりではないでしょうから、一概に歓迎もできないかも。

 そろそろ、自動車・鉄道・航空機・船舶などと分野別で考えるのではなく、将来に向けた総合的な交通の未来図を描かねばならない時期にさしかかっているとも思うのですが、そういう機運はまるでなさそう・・・。

 最終章のシメが「アメリカ人、もっと歩け!」みたいな話になっているのは、なんか笑えます。