
The Replacements リマスター+ボーナストラック付再発作品シリーズ!!!
のつもりだったんですが・・・。
1984年の "Let It Be" まで取り上げたので、次はメジャー移籍後の第一弾、1985年の "Tim" でいくはずだったんですが・・・。
気がついた時にはなぜか "Tim" のリマスター+ボーナストラック付再発盤が世界的に廃盤状態になっていしまい、入手困難に。他のアルバムはまだ売ってるらしいのになぜだ?
現在、"Tim" のリマスター盤はそのまた後から再発売されたのがあるのですが、収録曲はオリジナルに戻ってしまいボーナストラックはすべて削られた状態です。権利関係でなんかモメたかな? The Replacements らしい話だ・・・。
しょうがない。改めてボーナストラック抜きリマスター再発盤で "Tim" です。ギタリストの Bob Stinson がこの後脱退しており、オリジナルメンバーでの最後のアルバムとなります。プロデュースは The Ramones の Tommy Ramone 。
個人的には The Replacements は前作 "Let It Be" から次の "Pleased To Meet Me" までの時期がもっとも魅力的。
ちなみに本作の当初のタイトルは、前作が "Let It Be" だったことから "Let It Bleed" にするつもりだったんだそうで・・・、なめてんのか、お前ら。
本作はアルバム冒頭から終わり一つ前の曲まで、割と似た傾向のアップテンポの曲が並んでいます。聴きようによっては単調と感じるかも。ただ、デビュー当初のような「どパンク」とは趣を異にしています。テンポが速くて音が荒れているけど、初期の The Beatles にも通じるようなシンプルでベーシックなロックンロールというか。"Kiss Me On The Bus" とかいいよね。
・・・しかし、本作はなんつってもっ! アルバム最後の曲 "Here Comes A Regular" !!!
冬の寒空に星が瞬いているような澄んだ音・・・。
ここまで叫び続けた Paul Westerberg が一転、疲れきったようにつぶやく歌声。
最初に買ったCDには歌詞カードがついていなかったので、歌の内容はわかりませんでした。なので、「なんだか酒場の隅でヨッパライが一人で背中丸めて酔いつぶれているみたいな曲だなぁ」と勝手に思っていました(どういう感想なんだか)。後年、 この曲も収録されている The Replacements のベストアルバムを買って、その歌詞カードで知ったのですが、やっぱりヨッパライの歌でした・・・。言葉がわからなくとも伝わる素晴らしい表現力! と褒めたらよいのだろうか・・・。なんか違うよな。それが The Replacements 。
とても寂しげなヨッパライの歌です。でも、そのヨッパライを見つめる眼差しはどこか暖かい。

次作、1987年の "Pleased To Meet Me" はリマスター前の旧盤でご紹介済み。もちろんリマスター+ボーナストラック付再発盤も買いました。
"Tim" と比較すると、こちらの方が曲ごとの表情がよりくっきりしていて変化にも富んでおり、より一般向けといえるかも(といっても、他の作品に比べれば、という話ですが・笑)。
ボーナストラック、11曲とたっぷり。アルバム収録曲の別バージョンや未発表曲、ドラムの Chris Mars がボーカルをとる曲まであります。
・・・しかし、本作はなんつってもっ! やっぱり "The Ledge" !!!
"The Ledge" と "Here Comes A Regular" !!! この好対照とも両極端ともいえる2曲には The Replacements 、時代とすれ違い、不遇に終わったバンドの魅力がつまっています。