
R.E.M. 再発デラックス盤シリーズを、と思ったですが、断念しました。だって、再発デラックス盤が出てないんだもん。1987年の "Dead Letter Office" です。
コレはもっぱらアルバム未収録のシングルB面曲(「シングルB面」といってもそろそろ若い世代には意味が通じなくなりつつあるのでは、と不安ですが・・・)を集めた編集盤です。アルバムタイトルは訳すと「配達できない郵便物を保管する部署」ってことだそう。
さらに、レコード・カセット(!)の後に発売されたCD(これも若い世代には不可解かもしれませんが、この当時はまだCDが主流になっておらず、レコードの方が優先されることが少なくありませんでした)では、ボーナストラックとして彼らのデビューミニアルバム "Chronic Town"(1982年)の5曲が追加されています。
まあ、そういう性格のアルバムなのでデラックス盤なんつーの制作するのはそぐわないっていうことなのでしょうか。
でも「なんだよー、マニア向けかぁ」とか思って無視したりしてはいけません。編集盤ではありますが、ファンにとってはオリジナルアルバムに準ずる重要な1枚です。
狂気と暗い情熱が交錯する1曲めの "Crazy"(同郷のバンド・Pylon のカバー)がいきなりかっちぇー。R.E.M. の作品の中でも特に好きな曲です。
The Velvet Underground のカバーが3曲もあるのは彼らの音楽性からして理解可能ですが、Aerosmith の "Toys in the Attic" は意外。
"Voice of Harold" が "7 Chinese Bros." の替え歌になっているところからもわかるようにB面ならではのお遊びっぽい雰囲気があるのですが、力が抜けてて正式アルバムとはまた違ったおもしろさがあります。
それに "Chronic Town" の曲がいいんだ、これが。中でも "Gardening At Night" !!! あのフワフワした不思議な美しさ! 最初期の曲ですが、個人的には R.E.M. 屈指の名曲!
"Crazy" と "Gardening At Night" が入っているだけでもファン必携! でも、それだけじゃないんだぜ! っていうアルバムです。