
「平将門と東国武士団」(鈴木哲雄:著 吉川弘文館)、読了。
「動乱の東国史」というシリーズの第一巻。日本全体ではなく、(現在の行政区分で、歴史を追うには必ずしも適当ではない)都道府県や市町村単位でもない「東国」という領域の「動乱」に焦点を絞ったユニークなものです。
「東国」で「動乱」といえばやはり、この人、平将門から。
将門の乱の経過からその討伐で功績をあげた者達の勢力拡大、さらに前九年・後三年の争乱、さらには保元・平治の乱に参加した東国武士たちと、平安中期から後期までを扱います。
ユニークな企画であるとともに、出版されたのが最近であることもあって、天変地異がこの時代の社会情勢に与えた影響など新しい研究成果も盛り込んだおもしろい一般向歴史書になっています。次巻も読んでみよ。
本文ではなく、コラムにあった話なのですが、この時代の東北の特産物として鳥の羽で織った布(!)があったそうで、これがかの「鶴の恩返し」の成立にかかわっていたと推測されるとのこと。なるほど、あのよく知られた民話にそういう背景があったとは知らなんだ。