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開店休業の記

今日の音楽 ー 遠き西の山々

秩父遥拝

 秩父はわたしの住所と同じく埼玉県なんですが、あんまりなじみがない・・・。生まれてこのかた、ずっと埼玉で暮らしてきたのに、2,3回しか行ったことがないです。同じ埼玉といっても秩父は西部の山地、こちらは東南のはずれのベタ平地の住宅街で都内や千葉の方が近かったりして、秩父の山々ははるかに遠い存在です。

 にもかかわらず、唐突に秩父です。笹久保伸の2014年のアルバム「秩父遥拝」です。

 笹久保伸もこの作品で初めて知った人です(そもそも、なんでこのCD買ったんだっけ?)。ペルーギターの奏者で秩父育ちだそうで、本人のサイトを見るとすでに20枚くらいアルバムを出しており、映画製作にも携わるなど活発に創作をしている人のようです。

 本作は1960年代に採集された秩父の仕事歌を独自に編曲し収録したもの。本人のギター演奏と歌を中心に、曲によってはドラム、ベース、コーラスが入ります。

 ある程度想像ができるところではありますが、とてもポップとは言いがたい音楽でとっつきやすくもないです。湿った、薄暗い日本的な憂鬱が全体を覆っています。まとわりつくような情念のボーカルは、かつての貧しい山村の姿を記憶の中から引きずり出してこちらに突きつけているような感すらあります。

 意外だったのはシンプルでありつつ、様々な表情をみせる演奏。テーマがテーマだけにどうかすると「文化事業」的な退屈な音を聴かせられるかなと危惧していたのですが、地味に挑戦的というか(謎)。とにかく単調な弾き語り作品ではありません。ギターもありがちなフォーク調だけでなく、時にクラシックぽかったりロックだったりラテンだったり。

 とっつきは悪いのに、クセになりそうな味わいがあります。ついつい「機神様よ〜」とか「クイクイ!」とか歌っちゃうぜ。

 いつかまた秩父に行ってみたいな。