
以前観た「この自由な世界で」がよかったので、その監督ケン・ローチの作品をもう1本。「麦の穂をゆらす風」、アイルランド独立闘争を描いたものです。
アイルランドの若い医師デミアンは国を出てロンドンの病院で働くつもりだった。だが、駐留する英軍のアイルランド民衆に対する弾圧への反発、そしてIRAのメンバーだった兄をはじめとする周囲の影響から武装闘争に身を投じていく。やがて和平の機運が訪れるが、休戦条約の賛否をめぐって同志の間で対立が生じ・・・。
強引にジャンル分けすると戦争映画に入れられてしまうかもしれませんが、戦闘シーンは必要最小限という感じでスペクタクルとは程遠い作品です。どちらかというと静かで、地道な映像が続きます。
史実が背景にある物語ですが、お偉方はまったく登場せず、いわば「現場」の人々ばかり。状況に追いつめられ、否応無しの選択を迫られる人々が描かれています。
「この自由な世界で」同様、やるせない空気が全編を覆う、重く、時々観ていて辛くなる映画です。それでもしっかりとした観応えを感じる映画でもあります。
アイルランドの緑の風景と、時折登場するアイルランドの音楽が印象的。
今日のDVD ー 「この自由な世界で」