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開店休業の記

今日の音楽 ー お気楽の勝利

The Traveling Wilburys Collection

 The Traveling Wilburys !!!

 オリジナルアルバムは両方とも持ってたんですけど、物欲に勝てず買ってしまいましたよ。2007年の "The Traveling Wilburys Collection" 、オリジナルアルバムにボーナストラックを追加してリマスターしたCD2枚に5曲のPVとバンドドキュメンタリーを収録したDVD1枚のセットです。

 ご存じない方のために一応説明しておきますが、バンドの当初のメンバーは5人、George Harrison 、Roy Orbison 、Bob Dylan 、Jeff Lynne 、Tom Petty!!! 1988年のファーストアルバム発売直後に輸入レコード屋さん(西武百貨店池袋店のWAVEだったかな)で見つけた時は、「えっ、えっ、なに、このメンツ!?」と目を丸くしたおぼえがあります。George Harrison が Jeff Lynne プロデュースのソロアルバム "Cloud Nine" からのサードシングル "This Is Love" のB面曲を制作するにあたって、やはり Jeff Lynne プロデュースでアルバムを作ろうとしていた Roy Orbison と Tom Petty に声をかけ、Bob Dylan もその所有するスタジオを借りるついでに誘って、それでレコーディングした "Handle With Care" のデキがえらくよかったので、いっそフルアルバム作っちゃえ、ということになったらしいです。

 豪華としか言いようがないメンツで、いわゆるスーパーバンドってことになると思いますが、それっぽいエゴの衝突は全く感じられません。遠慮しあって中途半端になったりもしていません。それぞれが埋没せずに持ち味を発揮しつつ、それでいてまとまりがあるという、この種のグループのものとしては稀有の作品といっていいのでは?

 メンバーそれぞれが当時すでに大看板背負っていた人たちなので、自分の作品の制作過程では期待している聴き手にそれなりのものを届けなければならないというプレッシャーと常に戦っていたと想像されますが、それから解放されて気の合う仲間とギターじゃかじゃかやると、こんなにもお気楽で伸び伸びと明るく楽しく、売れ線を狙った風ではないのに結果オーライで高水準のアルバムができてしまったという、何なんだ、この人たちは・・・。

 2枚のアルバムを比較すると、わたしはやはり1枚目が好きです。

 光沢のある絹の如き声で何を歌ってもロマンチックになってしまいそうな Roy Orbison の後に、とても美声とはいいかねる Bob Dylan と Tom Petty が続くところなんか、何回聴いても妙に可笑しいです。"Congratulations" の冒頭における Bob Dylan の投げやり感は素敵。これが表現力というものか(笑)。なんといっても "End Of The Line"! 大好き!!!

 2枚目もいい作品ですが、1枚目が予想をはるかに超えて売れ過ぎてしまった(なんと全米3位)せいで肩に力が入ったのか、それとも Roy Orbison の急死とその後任になるはずだったといわれる Del Shannon の自殺が影を落としてしまったのか、前作の伸び伸び感は後退しています。

 両作ともにプロデュースは Jeff Lynne 。Tom Petty のアルバムでの仕事については、わたしは是とも否ともいいがたいと感じていますが、Wilburys については功績大と評価します。よくこのメンバーをまとめたものだし、お気楽の度が過ぎて散漫になるのを防ぎつつ、このバンドによく合う華やかな彩りを加えてくれています。

 制作風景が見られるDVDのドキュメンタリー( Roy Orbison も George Harrison もこのころは元気だったんだよなぁ・・・)も、ファンならオマケ以上の価値があります。嬉しいことに輸入盤でも字幕は日本語対応していました。偉い!

 買い直して悔いなし(笑)。