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開店休業の記

今日の音楽 ー この世界は厳しい・・・

The Best Of Merry Clayton

 今年の初めに観た映画「バックコーラスの歌姫たち」に触発されて買ってみました。登場するボーカリストの一人・Merry Clayton のベストアルバム "The Best Of Merry Clayton" です。2013年発売みたいですが、映画に合わせたのかしらん?

 Merry Clayton は The Rolling Stones の "Gimme Shelter" で暗雲を切り裂く雷鳴の如き凄まじい歌声を聴かせてくれた女性ですが、ソロとしてもいくつか作品を出していました。本作に収録されている曲のほとんどがそれらから抜粋されたらしい70年代前半のものです。

 一聴して「ああ、あの時代だなあ」と感じる音ですね。70年代初めの伸びやかな音。昨今のソウル系音楽の密室的な雰囲気が好きではないわたしとしては、こちらの方が聴いていて断然気持ちがいい。

 Merry Clayton のボーカルは例の "Gimme Shelter" とはかなり印象が異なり、気合一発型ではなく正攻法でしっかり歌を聴かせるという感じです。声量豊かで、やっぱりうまい。

 質は高いなと感じるその一方で、当時売れなかったのもなんとなくわかるところがあります。

 映画「バックコーラスの歌姫たち」に、「自作曲を持たないボーカリストはプロデューサーなど共同制作者を誰にするかというのが非常に重要なんだ。適切な方向性を定め、ボーカリストの力を十分に引き出すことができる存在の有無が作品の成否を左右する」という言葉がありました。それを改めて思い出しました。収録曲をみる限り、Merry Clayton も自分では曲を作らない人のようです。そのことがすべてではないにしろ、「彼女ならでは」という個性に欠けるところは否定できないように感じます。

 良い作品を作ることも簡単ではないでしょうが、彼女並みに歌える人がゴロゴロしてそうなアメリカ(「バックコーラスの歌姫たち」を観ると余計にそう思います)で売れる作品を作るとはなんと困難なことかと考えてしまいます。