『「鉄学」概論』(原武史:著 新潮社)、読了。
著者は大正天皇や昭和天皇についての著作がある日本政治思想史の研究者ですが、鉄道ファンでもありそちらの立場での本も出しています。
今日の本 ー 「昭和天皇」
この本はその両方を合体させたような内容になっています。「鉄学」とありますが学問的な堅苦しさは少なく、どちらかというとエッセイに近い感触のものです。鉄道と文学、鉄道と天皇、鉄道と住環境と様々な角度から日本の近現代が語られていきます。
わたしが一番興味深く感じたのは、1973年に起きた首都圏国電暴動。
暴動。暴動ですよ。
当時、労働組合が実施していた労働争議の影響で国鉄(現在のJR)のダイヤが大混乱しており、これに不満を募らせた乗客らが首都圏各所の駅で同時多発的に起こした事件だそうです。列車への投石、車両・きっぷ自動販売機の破壊、盗難、はては放火まであったとか。暴動に参加した群衆は3万人を超え(ほとんどが一般のサラリーマンだったようです)、被害額は10億円近くに達した(現在の貨幣価値なら20億円以上でしょうか)ということです。
どこの国の話だよという気さえしますが、40年前は日本もこんなもんだったんですね。