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開店休業の記

今日の本

エジプト革命

 「エジプト革命」(鈴木恵美:著 中央公論新社)、読了。

 エジプトにおけるムバーラク政権崩壊とその後の混乱の過程を解説しています。2011年初めから2013年8月までのできごとを中心に過去のエジプトの政治体制や社会状況をからめ、新書としては非常に内容の濃いものとなっています。新聞・テレビあるいはネットの断片的なニュースでは把握しにくいエジプトの状況を、動乱の始まりから現在に近い時点までまとまった形で詳述されており、非常に参考になります。

 読んで感じたのは「民主主義の難しさ」です。支持者数という点では組織力があり地方農村部に厚い基盤を持つイスラーム系政党が元々有利であり、実際に選挙が行われると議会選でも大統領選でもやはりイスラーム系政党が勝利しましたが、この結果に民主化運動の主力であった都市部青年勢力は不満を募らせ、イスラーム系政党を危険視する軍がそれに同調する形で政権を再び打倒するということになってしまいました。公正に選出された大統領を就任からわずか1年で軍が追放するという事態は民主化に逆行しているとして国際的にも批判されましたが、「軍が民主体制を望む人々を力で押さえ込んだ」と単純に理解するわけにはいかないようです。

 国家の柱石と自負する軍、長年にわたって独裁に対抗してきたイスラーム組織、リベラルな若者たち。それぞれが妥協できる体制に落ち着くまでにはまだ時間がかかりそうです。