
「代替医療のトリック」(サイモン・シン/エツァート・エルンスト:著 青木薫:訳 新潮社)、読了。
この本では代替医療の定義を「主流派の医師の大半が受け入れていない治療法」としています。これでは今ひとつピンときませんが、科学的な裏付けのとれていない治療法と言い換えてよいかと思います。
そうした代替医療について、実際に効果があるのか、害はないのか、を追求した一般向け科学書。数ある代替医療の中から特に広く利用されている鍼・ホメオパシー・カイロプラクティック・ハーブ療法の4つを選び、臨床試験の結果からその効果を検証するというものです(それら以外の代替医療についても簡単な評価があります)。
で、その結論は? それはまあ読んでのお楽しみということで。
原題は "Trick or Treatment?" 。ハロウィンの決まり文句に引っかけてますね。「医療、それともインチキ?」ってな感じでしょうか。邦題は・・・、ヒネりなさすぎ。
著者の一人が、以前ここで2回取り上げているサイモン・シンです。今回も興味深いテーマに挑んでいまして、期待に違わずおもしろいです。
ちなみに彼は英国カイロプラクティック協会から訴えられてしまったそうで、幸いその後訴訟は取り下げられましたが、こういう問題を追求すると本務たる執筆以外にもいろいろ苦労が絶えないのだなといささか同情したくなります。と同時に、それにあえて挑戦した二人の著者の勇気に敬意を。
今日の本 ー 「フェルマーの最終定理」
今日の本 ー 「ビッグバン宇宙論」