わたしは十代の頃から Simon & Garfunkel の大ファンですが、にもかかわらず今まで Art Garfunkel のソロ作はほとんど聴いていませんでした・・・。Paul Simon の方は "The Rhythm Of The Saints" まで欠かさず購入していたというのに。何という依怙贔屓。すまん、Art 、昔はお金なくて手がまわんなかったのよ。
反省した今回は Art の 1998年のベストアルバム "Simply The Best" です。ソロ作からの20曲を収録。
Art はその歌声はもちろんすばらしいのですが自分で曲を書かないし楽器演奏もしない人なもんで、わたしの Simon & Garfunkel に対する関心は作曲者兼ギター担当の Paul に集中してしまい、聴くのが斯くも遅れてしまいました。本作も Art 作の曲は一つとしてなく、作曲者としては先日ご紹介した Rumer も取り上げていた Jimmy Webb や Slim Chance にも参加していた Gallagher & Lyle(!)など。Stevie Wonder 、The Beach Boys 、Sam Cooke 、Dire Straits らのカバーが含まれています。
作曲者もバラバラですし各曲の制作時期もかなり異なる編集盤なのに、そうとは思えないほどまとまりがあります。Simon & Garfunkel 時代の曲で言えば "April Come She Will" や "Bridge Over Troubled Water" の路線で、優しく耳あたりは良いがベタ甘・安直ではない配慮の行き届いた演奏・曲調、何より Art の美声をしっかり聴かせる内容になっています。悪く言えばワンパターンでもあるのですが、ここまで徹底されるとむしろ Art の意志を感じますな。実はけっこう頑固な人なのかもしれない。新機軸を取り入れたがるかつての相方と袂を分かったのもわかるような・・・。