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開店休業の記

今日の本

日本仏教の可能性

 「日本仏教の可能性」(末木文美士:著 新潮社)、読了。

 副題に「現代思想としての冒険」とありまして、仏教が現代社会においてどのような存在意義を見い出せるか、著者の考察をまとめたものです。仏教の近代化、死者や神道との関係などが取り上げられています。

 本書でもしばしば登場する「葬式仏教」という言葉で半ば揶揄されているように、現代の日本で仏教はしばしば「葬礼専門業者」という扱いをされるばかりで、思想面で注目されることはほとんどありません。評価されるのは親鸞だの道元だの、はるか昔の人のものばかり。そこをあえて可能性を探ろうという本書は、実はさり気なく野心的な著作といえるかもしれません。

 講演が元になっているということもあって、分量は本文が220ページとテーマからするとやや少なく、読みやすい反面もう少し突っ込んだ内容が欲しかったという不満も感じますが、これまで全く知らなかった近現代の仏教思想の一端に触れることができたのは収穫でしたし、著者の「他者」論にも考えさせられるものがありました。

 著者は仏教学の研究者。わたしはずいぶん以前に著者の「日本仏教史」を読んでいまして、そちらもとても勉強になる内容でした。