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開店休業の記

今日の音楽 ー 何を演っても Paul Simon

Paul Simon

 これも持ってたんですけど、リマスターかつボーナストラック追加で輸入盤700円を切るという凄まじい価格に耐え切れず買ってしまいましたよ。昨今、低迷する音楽業界は「とにかく何でもいいから売るんじゃあ!」的姿勢が顕著ですな。円高もあるのでしょうけど、だいじょうぶか? 日本の牛丼屋さんたちの「どこが先に体力負けするか・値下げチキンレース」みたいですけど。ソレにノせられて買う方も買う方ですが。

 くだらない前置きが長くなりましたが、Paul Simon 1972年の2枚目のソロアルバム "Paul Simon" です。

 傑作で最高のヒット作でもある1970年の "Bridge Over Troubled Water" 発表後 Simon & Garfunkel は活動を停止してしまうのですが、本作はその後に発表されたものです。

 冒頭の "Mother And Child Reunion" はレゲエ、次の "Duncan" は "El Condor Pasa (If I Could)" に引き続きフォルクローレを起用し、"Paranoia Blues" はブルース、インストゥルメンタルの "Hobo's Blues" ではジャズ・ヴァイオリニストの Stephane Grappelli と共演と、多様なジャンルを取り込みながら受ける印象は華やかではなく、ややくすんだような色彩が感じられます。あの "Bridge Over Troubled Water" の次の作品という先入観を持って聴くと意外な感じがするのでは。

 でも、やっぱり Paul Simon だよなという気分になる作品でもあります。何演っても結局耳に残るのは彼の秀逸なメロディと熱狂からは遠く離れた冷徹と言ってもいいくらいの音楽作りの姿勢で、"Me And Julio Down By The Schoolyard" なんか他の音楽家さんが演ったらノリノリのダンス曲になりそうな感じなんですが、Paul Simon だと仮に本人がそういうつもりで作っていたとしてもそうはならないという(笑)。本作で採用された音楽スタイルも彼の本質に変化を与えるようなものではなく、悪く言うと添え物に近いような気もします。

 ボーナストラック3曲はいずれも本作収録曲の別バージョンですが、フォルクローレ抜きの "Duncan" は別の曲かと思った・・・。そうそう、リマスターの効果はあったようで旧盤より音はクリアになったと思います。

 ・・・とかいったゴタクはホントはどうでもよいのです。本作は Paul Simon のソロアルバムの中で、わたしが一番好きな作品。高校時代、一時廃盤になったのか入手が困難になっていたのをあちこちのレコード屋さんを何軒もまわってようやく手に入れた、思い出深いものです。なので、客観的な評価なんか、もう放棄、追放。"Duncan" とか "Peace Like A River" とか、泣くぞ、オレは。