
「夢十夜」(夏目漱石:著)、読了。
題のとおり、十の夢のお話。短編です。
「他人の夢の話ほどつまらないものはない」とはよく言われることですし、「夢オチ」という言葉は「破綻した物語をとりあえず終わらせるための陳腐な便法」と嘲笑的に使われる方が多い気がしますが、夢ネタでも文豪は一味違います。
どれもごく短い話ですし、深〜い意味がありそうでいて、でもやっぱりないだろうという感じが正に夢らしいという、そういう作品なのであらすじは書きませんが、イメージの広がりが豊かで描写が細やか。どうってこともないような話でもありますが、しかし凡百の作家ではなかなかこのネタでこの水準のものは書けまい。さすがです。