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開店休業の記

今日の本

クラバート

 「クラバート」(オトフリート・プロイスラー:著 中村浩三:訳 偕成社)、読了。

 某アマゾンのおすすめ商品になぜか入っていたので、なんじゃこりゃと商品詳細を見たら小学生の時に読んで大好きだった「小さい魔女」の著者の作品だと知り、読んでみました。

 ジャンルは児童文学ということになりましょうか。童話というには対象年齢がやや高めで、内容からすればファンタジーといってもいいような気もするけれど、この古典的とも思える作風はやはり児童文学、という感じだよなぁ。

 舞台は十八世紀ごろ、現在のドイツ東部にあたるザクセン選帝侯国。貧しい放浪の少年・クラバートは年の始めに見た奇妙な夢に誘われて、たどりついた水車場で住み込みの見習いとして働くことになる。そこはただの水車場ではなく、実は魔法の学校でもあった。クラバートと十一人の仲間は水車場の親方に服従を誓わされ、そこから逃げることはできない。仕事に追われるうちに季節は巡り、冬を迎えたころ、水車場はなぜか次第に不安に包まれていき・・・。

 この種の物語としては正統的とも言える展開で、その分、意外性はあまりありませんので奇想天外さを求める方には不向きかも。しかし、子ども向けの平明さは維持しつつ、堅牢かつ陰影に富んだ描写と構成は大人の鑑賞に十二分に耐える水準の高さで、読み応えあり。こいつは子どもだましじゃありませんぜ。