
「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史 上・下」(佐野眞一:著 集英社)、読了。
「戦後史」とありますが、時系列で流れを追ったものではありません。精力的なインタビューをもとに著者が関心を持った沖縄人あるいは沖縄に深く関わった人物を浮かび上がらせることによって、むしろ「典型的な」史書の類では取り上げられることがないであろう沖縄の一面を描くことに挑戦した意欲作です。
上下で1000ページ近い量に加え、政治家、警察、暴力団、経済人に芸能関係者と取り上げられた人々も多岐にわたるため、まとまりに欠いた点は否めず、著者の見解も時にやや強引でありながら焦点を絞りきれていないようなところは感じました。しかし、その分、内容は豊かでこの量が苦にならない、おもしろい読み物でもありました。