
「異常とは何か」(小俣和一郎:著 講談社)、読了。
「それはお前のことだよ」とかいう指摘は、却下。
著者は精神科医・精神医学史家。その立場から「異常」について歴史的な変遷も踏まえて論じる、というもの。
新書のテーマとしては壮大すぎた観は否めません。そのためか、議論が散漫になってしまい、結局「正常と異常の境界は見極めがたい」という、わりと陳腐なところでまとめざる得なかったような感じです。著者自身も出来に不満が残ったようで、あとがきにこの本一冊では十分に語ることができなかった旨、漏らしています。
ただ、部分部分にはおもしろい記述がいくつもあったので、惜しいなという気もしました。