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開店休業の記

昨日の映画

イリュージョニスト

 前回の続き。

 レンブラントとシュルレアリスム展を観た後、時間に余裕があったので六本木で上映中だった映画を1本観ました。

 「イリュージョニスト」、英仏合作のアニメーションで、昨年2010年の製作です。

 アニメーションですが、子ども向けではありません。十代でもどうでしょうか? ×××な表現が含まれているから、ということではなく、若年層には理解しにくいお話になっているからです。実際、一緒に観た姪にとっては、おもしろいものではなかったようです。ひょっとすると、わたしよりも上の世代の方が感ずるところが多いかもしれません。

 時は1959年、パリでショーに出演して生計を立てていた老いたる手品師・タチシェフ。しかし、その芸は時代遅れとなってしまってパリではもはややっていくことができなくなり、海を渡って英国でドサまわりすることに。スコットランドの大田舎で彼の手品を見た地元の貧しい少女・アリスは、言葉が通じない彼を本物の魔法使いと勘違いし、次の巡業先へ向かう彼に勝手についてきて自分の願いをかなえてもらおうとする・・・。

 どうやらサイレント時代の映画の雰囲気を意識して作られたもののようで、台詞が極端に少なく、お話を映像描写から読み取らなければならない(難解ではないのですが、派手な演出もありません)上に、テレビやロックといった新しい文化の台頭により、タチシェフのそれのような古風な芸が廃れていく、そんな時代背景を感じつつ観る、なんていうのはある程度の年齢になっていないと・・・。

 しかし、良い映画だと思います。人物の描き方はちょっと癖があるので好みが分かれると思いますが、風景、特にスコットランドの描写は美しい! すてきです。

 暖かさと傷ましさと苦味、それぞれが淡くにじむ佳作です。