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開店休業の記

今日の本

たまたま

 「たまたま」(レナード・ムロディナウ:著 田中三彦:訳 ダイヤモンド社)、読了。

 確率を主題にした一般向け科学書です。一般にもなじみぶかくて実用性もあることから、確率を取り上げた本は数学関連のものとして比較的多く出版されているようで、わたしもいくつか読んでいますが、その中でもこの本は読みやすくて良いと思います。実社会で起こった出来事を例に取り上げユーモアを交えて説明しつつ、数学における確率への取り組みの歴史にも触れて内容豊かです。

 「マリリンの災難−モンティ・ホール問題」、「”死刑宣告”を受けた私が今も生きている理由」の章は特に勉強になりました。ワイン好きや投資に関心を持っている向きにとっても、なかなか有用な話があります。なんにせよ、思い込みには注意しなければなりません。本書によるとある確率の専門家はこう述べたそうです。

 「われわれの脳は確率問題をやるようには、あまりうまく配線されていない」

 世界が決定論的に動いているにせよ、我々人間にはその能力の限界から正確な未来予測は多くの場合不可能、必然性はしばしば錯覚でしかない、重要なのは偶然の役割を忘れずに前向きに歩き続けること、という著者の意見には大いにうなずけるものがあります。