「アフリカ・レポート」(松本仁一:著 岩波書店)、読了。
欧米の植民地から独立はしたものの、いまだ混迷の淵から抜け出せないアフリカ諸国の近況報告。
著者も言及しているように、「アフリカ・レポート」とはいっても取り上げた国は広大なアフリカ全体の一部でしかなく、新書1冊ということもあって分量に物足りなさは感じます。
ただ、今年のワールドカップで多少注目はされはしましたが、元々日本でアフリカが紹介される機会の少なさを思えば、一般向けのこの本は十分に価値があります。
統治組織がまともに機能していないがために、植民地時代よりむしろ状況が悪化してしまっている悲劇的な有様は、次々と独立国が生まれアフリカの未来に希望がもたれていた数十年前には予想できなかったことでしょう。この本でも真っ先に取り上げられているジンバブエは独立当時、すでに社会基盤の整備がかなり進んでおり、その前途は明るいと評価されていたことをわたしもうっすらと憶えているのですが・・・、30年たったらこんなことになっていたなんて・・・。