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開店休業の記

今日の本

静かな大地

 「静かな大地」(花崎皋平:著 岩波書店)、読了。

 副題は「松浦武四郎とアイヌ民族」。松浦武四郎は幕末から明治にかけての人物で、幕末期の北海道を探検し詳細な記録を残しています。この本は彼の生涯をその北海道探検の記録を中心に追ったもので、同時に彼の眼に捉えられた当時のアイヌの人々の姿を伝える内容となっています。

 以前、松浦武四郎の著書である「近世蝦夷人物誌」を現代語訳した「アイヌ人物誌」も読んでいますが、その時同様、この本も和人であるわたしにはなかなか読むのが辛い本でした・・・。

 松浦武四郎は藤田東湖・吉田松陰等とも親交のあった尊王主義者(現代風に解釈するなら一種の民族主義者とも言えましょう)でもあり、一民間人であった彼が自主的に北海道探検を志したのも、ロシア南下の脅威に備えるための調査が目的だったのですが、その記録は現地の実態を観察するうちに当初の目的から徐々にアイヌ人を迫害する和人への厳しい批判へと力点が移っていったようです。

 「皇国にあってこのような所業が行われているとは・・・」という彼の歯ぎしりが聞こえてくるようでもあり、と同時にその時代の限界は背負いつつもアイヌ人擁護に苦闘した彼には敬意を抱かざる得ません。