「源氏と坂東武士」(野口実:著 吉川弘文館)、読了。
武門の棟梁の家柄とされる清和源氏の坂東(現在の関東地方)進出を、その祖・源経基から源頼朝の鎌倉幕府成立までたどり、あわせてその間の坂東武士たちの動向も追った歴史研究書。
平安中期以降、武門の棟梁たるには、紛争調停者・庇護者として、軍事的な実力、上位者としての権威(貴種と認められる血筋あるいは一般の武士では望みえない高い官位など)、中央の朝廷にも足場を持っていることなどが必要であり、それらを満たしていた清和源氏の系統が坂東武士団の組織化に成功し、その地位を獲得した、としています。
一連のいわゆる「源平合戦」が、実は長く続いた源氏の一族間抗争の最終段階という一面を持っていたという指摘には納得。