メニュー 蕭寥亭 検索

開店休業の記

今日のDVD

さらば青春の光

 もっと早くに観るべき映画だったかもしれません。60年代英国のモッズの青春を描いた「さらば青春の光」です。

 原題は "Quadrophenia" 。ご存知、The Who の同名アルバムの物語(同作はロックオペラ)を元に1979年に製作されました。

 わたしはもちろん Ronnie Lane ファンであるのですが、特にモッズ・ファンというわけではないので、必ずしもモッズ文化に対する関心は深くありません。それでも非常に興味深い作品でした。モッズを愛する人は当然必見です。まあ、とっくにご覧になっているでしょうが。

 逆にモッズに何ら関心を持っていない人にとってはちょっと辛い映画かも。この映画からモッズの要素を除いてしまえば、それほど出来が良いとは思えないからです。

 「モッズ」という単語で検索すると、ファッション関係のサイトが大量に引っかかってきます。日本ではどうもそっち方面が強調されたクールな人々、という印象があるようですね。多分、そのイメージはこの映画を観ちゃうとガラガラと崩れてしまうと思いますが。

 はっきり言っちゃうと、不良です、チンピラです、彼らは。

 クスリをキメて夜遊びするわ、クスリがなくなりゃ薬局に忍びこんでカッパラってくるわ、些細なことですぐに乱闘をおっぱじめるわ・・・。Ronnie がインタビューで「モッズはケンカばかりしていた」と言っていたのを思い出します。Ronnie と Kenny Jones と Steve Marriott が初めて一緒に演奏した夜、興に乗った Marriott が店のピアノをぶっ壊してしまい、3人とも店から叩き出されたという話もありますが、「そのぐらい、軽くやっちまうだろうな」ってなモンです。

 その背景には、仕事にも家庭にも自分の将来にも希望が持てない若者の閉塞感と焦燥感があることを、この映画は語り続けていきます。仲間との関係もどこか薄っぺら。「青春の光」より「青春の陰」の部分の描写が中心です。若ければ共感し没入することもできるかもしれませんが、この歳になってから観ると、何か苦〜いものを感じざるえません。痛々しい。若いって、辛いのぉ。

 シャワールームで、隣の奴が初期のロックンローラー・Gene Vincent の "Be Bop A-Lula" を歌っているのに対抗して、主人公が The Kinks の "You Really Got Me" をガナりまくる場面はウケました。