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開店休業の記

今日の音楽 − 彼女が街にいた頃

Some Things Just Stick In Your Mind

 Vashti Bunyan は1970年に "Just Another Diamond Day" を発表する前にも、シングルを2枚出していたそうです。当時、彼女は二十そこそこ。デビュー曲は何と Stones の Jagger/Richards 作だったそうな。この "Some Things Just Stick In Your Mind"(そのデビュー曲のタイトルでもあります)は、それらのシングル曲を含めて彼女が1960年代に残した音源を集めたCD2枚組の編集盤です。

 デビュー曲はオーケストラをバックにしたいかにも当時のポップスっぽい感じです。でも Vashti はやっぱりあのささやくような歌い方で、似合っているのかいないのか。"Just Another Diamond Day" 収録曲のデモ・バージョンなんかもありますよ。

 彼女のデビューには初期 Stones の マネージャーだった Andrew Loog Oldham が関わっており、Oldham が設立した Immediate Records にも在籍していたことがあるそう。そのせいか、"Coldest Night Of The Year" って曲なんかは Billy Nicholls みたいですが、やっぱり Vashti の歌は同じ。Immediate Records つうと、Small Faces ! Ronnie Lane ! とは、特に関係ないようですが。残念。

 一方、収録曲の大半を占めるデモ音源は、後に "Just Another Diamond Day" を作った人らしいものばかり。

 音質はあまり良くありません。内容からいっても熱心なファン向けでしょう。

 彼女の音楽は聴いていて「誰かと印象が重なるな」とずっと思っていたのですが、本作を聴いていて気がつきました。Nick Drake ですよ。

 つつましやかな歌、アコースティックギター中心のひっそりした音。わたしが持っている彼の "Five Leaves Left" と "Just Another Diamond Day" はプロデューサーが同じ、Fairport Convention 関係で知られる Joe Boyd でした。しかもデビュー当時は芽が出ず、相当な時間が経過した後、ようやく再評価されたという点も共通しています。

 しかし、現在の人気を知ることなく若くして亡くなった Nick Drake に比べれば、Vashti はきっと幸せなのでしょうね。こうしたCDまで出るくらいですから。でも、最初のレコードを出してからはるか数十年後に評価されるとは、まさか思っていなかっただろうな。