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開店休業の記

今日の本

追憶のハルマゲドン

 「追憶のハルマゲドン」(カート・ヴォネガット:著 浅倉久志:訳 早川書房)、読了。

 昨年亡くなった、わが敬愛するアメリカ人作家カート・ヴォネガットの作品集。日本ではつい最近出たばかり。第二次大戦時に従軍したヴォネガットが終戦後フランスで家族にあてて書いた手紙、死の直前に書いていた講演原稿1本、エッセイ1本、未発表短編10本、それとカート・ヴォネガットの息子マーク・ヴォネガットによる序文という内容です。

 未発表短編には執筆年月日が記載されていなかったので、いつごろの作品かは不明のようです。どうやら初期のものらしく、ユーモラスというより暗い皮肉を感じるものが多く、うち7本は軍隊・兵士が登場します。他、手紙の署名の肩書きはアメリカ陸軍上等兵、エッセイも捕虜になっていたときのことと、意図されたわけではないのでしょうが彼の戦争体験が色濃く反映された作品集となっています。

 ヴォネガットについては長編はほぼ読破しているのですが、短編の方はさっぱり。この本を読んでも、「やはりヴォネガットは長編がおもしろい」という感は消えませんが、といってつまらないわけでは決してありません。これを機会に他の短編集も読む気にもなりましたし。