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開店休業の記

今日のマンガ

林檎も匂わない

 今春発売されたあすなひろしの作品集からもう一冊、「林檎も匂わない」(あすなひろし:著 エンターブレイン)です。短編集で全10編。

 10編中、8編は1968〜1970年と比較的執筆時期が古いこともあって、後年の「青い空を、白い雲がかけてった」を連想するのが難しいくらい絵柄も題材も趣が異なります。その点は先に取り上げた「いつも春のよう 増補版」収録作以上です。

 しかし、今回発売された作品集4冊を通して読むと、やはり共通するものがあることを感じます。それは「喪われてしまったものへの愛惜の情」だったように、わたしには思われます。何が作者をそうさせたのかはわかりませんが。「青い空を、白い雲がかけてった」の「笑い」はここにはありません。その分、作者のその「情念」がむき出しになっているような気がします。

 表題作はあすなひろしが商業誌に発表した最後の作品です。研ぎ澄まされた絵。わずか24ページにしっかりとこめられた重み。これで最後だったなんて・・・。