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開店休業の記

今日のDVD

ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム −アイリッシュ・ソウルを求めて−

 去年の秋に「ロニー〜MODSとROCKが恋した男〜」をあるネットショップで予約した時、たまたまDVD2枚買うとン%割引セール中だったので、以前からちょっと興味があったのをいっしょに購入することにしました。それがこれ、「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム −アイリッシュ・ソウルを求めて−」です。「今すぐ観たい!」ってなノリで手に入れたものではなかったので、買ったはいいがつい後回し後回しにしていて、今頃になってようやく最後まで観ました。

 アイルランド音楽のドキュメンタリーだと思って買ったのですが、実際には同名のTVドキュメンタリー用に収録された演奏を抜粋したものでした。アイルランド音楽の歴史が知りたくて買ったのに、そういう意味では期待外れ。残念。

 しか〜し、それを補ってお釣りがくるくらい演奏がすばらしい! ロック・ファンの関心は U2 の The Edge や Elvis Costello といった有名どころの参加に集まりそうですが、観てみれば「そんなことはどうでもいい」というくらい充実しています。むしろ日本ではそれほど知られていないアイルランド系ミュージシャン達の情感あふれる歌声、演奏こそが見所です。バウロン、イーリアンパイプといった、やはり日本ではあまりなじみのない楽器の、音だけでなく演奏振りを目にすることができるというのも映像作品ならでは。演奏と同時に字幕に歌詞が流れるので歌の意味が理解しやすく、たまにはDVDで音楽を楽しむのもいいものです。

 わたしが特に気に入った曲をあげますと、まず "Kilkelly" 。アメリカに渡ったあるアイルランド出身の男へ、その家族が送った手紙を歌にしたもの。貧しさから多くの移民を出したかつてのアイルランドの哀しさが静かに伝わってきます。

 元 De Dannan の Dolores Keane 、Mary Black にアメリカから Emmylou Harris が加わった "Sonny" は、独身男のわたしの胸に突き刺さります。

 そして、このDVD最大の収穫は Paul Brady の "Nothing But The Same Old Story" 。こちらはロンドンへ出稼ぎに出た男の歌。ギターとブズーキだけの伴奏でスッげぇカッチョええ! 苦痛を怒りに変えて叩きつけた歌はパンクよりパンクっつーくらいの反骨。Paul Brady のことはこのDVDを観るまでほとんど何も知らなかったのですが、いや〜、初見で一撃食らっちまいましたよ。「オレに近寄るんじゃねぇ」とばかりにジロリとカメラをにらむその眼光には、そんじょそこらのハンパなロック野郎じゃ太刀打ちできません。

 約1時間半に計19曲を収録。とにかくアイルランド音楽に興味のある方なら観て損無しの内容。いかが?