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開店休業の記

今日の本

龍陵会戦

 「龍陵会戦」(古山高麗雄:著 文藝春秋)、読了。

 先月読んだ「断作戦」他1作と三部作をなす戦記で、2作目にあたります。断作戦は1944年に中国国民党遠征軍による攻撃から雲南各地の守備隊を救出するために実施されましたが、時すでに遅く対象となっていた拉孟・騰越両地の守備隊は玉砕(騰越守備隊の玉砕を描いたのが前作「断作戦」)し、結局残る龍陵が救援の焦点となりました。本作は龍陵守備隊と北ビルマから出撃した救援部隊の戦いを追いながら、著者の「戦争」に対する問いかけを綴ったものです。

 前作では下士官兵は仮名とし架空の人物も登場させていたとのことですが、本作では登場人物全員が実名で、救援に派遣された仙台第二師団所属だった著者の視点による私小説形式をとっています。そのためか、戦場の描写より戦争について考え続ける著者の姿が印象に残ります。著者自身が言うように、その思いは決してまとまってはおらず混乱しているとさえ感じられる部分があるのですが、むしろそれをそのまま吐き出すことが著者にとって重要だったのでは、とも思います。

 三部作最後の「フーコン戦記」もいずれ読むつもりです。