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開店休業の記

今日の青空文庫

最終戦争論・戦争史大観

 「最終戦争論・戦争史大観」(石原莞爾:著)、読了。

 著者は満州事変の首謀者で、当時陸軍屈指の頭脳・戦略家とされた人物。「傑物」と絶賛されることもあれば、クソミソにけなされることもあり、その評価は未だ定まらず、という感があります。これは過去・現在・未来における戦争に対する彼の見解をまとめたもの。1940〜42年にかけての文書です。

 なるほど、たしかに彼の着想には日本人離れしたスケールの大きさがあり、航空兵力の飛躍的進歩と重要性を認識し大量破壊兵器の出現を予測、科学技術の振興を提言する慧眼にはうならされます。反面、彼の個人的な信仰に関する言及が頻出する点や共闘すべき東アジア諸民族から日本人が嫌われていることを認めながらさしたる根拠もなく日本がアジアの盟主となると断じている点などは、正直言って辟易します。評価が分かれるのもよくわかります。

 実際、飛びぬけて鋭い頭脳の持ち主であったことはうかがえますが、かなり癖の強い彼の個人的な信仰・信念が結論を歪めてしまい、ために冷厳な観察者、分析者になり損ねているような感じも同時に受ける内容です。

 全体主義への傾倒ぶりには時代を感じますが、当時の風潮・意識が伝わってくるという点でそれもまた興味深いです。