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開店休業の記

今日の本

武士から王へ

 「武士から王へ」(本郷和人:著 筑摩書房)、読了。

 この本での「王」とは自立した統治者を指しています。日本史における統治体制論というところでしょうか。

 まだ40代と比較的若い研究者によるものらしく、どこか気負いが感じられ、少々議論の展開に強引さが目立ちます。また、鎌倉期の話をしていたと思ったら戦国時代に跳んだり、経済問題を論じたかと思えば新仏教の意義や日本を東西に分けた地域論にいつのまにか移っていたりとまとまりも今一つ。

 その代わりといっては何ですが、視点はなかなか新鮮でおもしろい。「『征夷大将軍』は名前にすぎない」とか「鎌倉幕府御家人窮乏の原因は分割相続より貨幣経済の浸透」といったあたり。思いつきだけの珍説奇説は困りますが、歴史学には意外と根拠に乏しい「通説」が定着している例も少なくありませんから、改めて基本を見直すという態度も時には重要だよな、とか思ったり。