メニュー 蕭寥亭 検索

開店休業の記

今日の音楽 − 自暴自棄がゆく

Pleased To Meet Me

 わたしの知る限り「ヤケクソ」という形容が最も似合うロックバンドは The Replacements 。アメリカ中西部ミネアポリスでパンクバンドとして出発し、"Sorry Ma, Forgot To Take Out The Trash"(訳:「母ちゃん、ゴメン、ゴミ出すの忘れた」)なるアルバムでデビュー、80年代MTV全盛の頃、巷に軟弱な音楽がはびこる中、ひたすら荒んだ音をかき鳴らしつつ崩壊していきました。

 これは後期、6枚目のアルバム "Pleased To Meet Me" 。一般世間的にはこの次の "Don't Tell A Soul" が評価されているようですが、わたしはこちらの方が好き。十数年も前に買った物ですが、ふと思い出して聴いてみました。

 最初期のどれ聴いても同じ曲に聴こえる時期と比較すれば格段にポップでそれぞれの曲調にもしっかり変化をつけてはいますが、基本はやはり「ヤケクソ」です、どこまでいっても。

 "Red Red Wine" なんかなぁ、「日曜は赤に決めてるんだ かあちゃんもそう言ってた 死ぬまで飲ませてくれぇ」ってさぁ・・・。まったく絵に描いたようなパンク崩れのヨッパライバンドぶりで開き直ってるとしか思えん。わざとなのか録音し直す気がなかったのか、曲の最後のコーラス、合ってないし。

 一直線に突っ走るような "Alex Chilton" はまともにカッコいいです。が、どこかやっぱりヤケっぽい。

 "The Ledge" は・・・、これはもう大好き!! イントロから切迫した不穏な空気が流れ出しますが、それもそのはず、飛び降り自殺しようとする男の歌です(これが大好きっていうわたしもなぁ・・・)。疾走感と緊迫感、絞り出すように叫ぶボーカル、砕けたガラスがキラキラ光っているようなギター、ひたすら力押しに徹するベースもドラムもみんな好き。わたしにとってはある種、ロックにおける理想形の一つです。ヤケになるならここまでやれっ!

 "Valentine" って曲もあって時節柄ピッタリ・・・、なんて訳はなく、今日このアルバムを二人で聴いているカップルがいたとしたら(まず、いないとは思うけど)ちょっと怖い・・・。