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開店休業の記

今日の本

お殿様たちの出世

 「お殿様たちの出世」(山本博文:著 新潮社)、読了。

 副題は「江戸幕府老中への道」。ですので、戦国の世が終わり武功で栄達することがかなわなくなった江戸期、老中目指してあの手この手で出世しようと奔走する譜代大名たちの実態、といったエピソード集のようなのかなと思ったらだいぶ違いました。そういうおもしろおかしさ重視の内容ではなく、家康の時代から幕末に至る江戸時代の老中の姿をていねいに追って老中制度の変遷を解説した至極まじめな本です。題と内容がちょっとズレているような・・・。

 著者が数えたところによると老中に就任した大名は120人以上にのぼるとか。ずいぶん多かったんですね。常に複数名置かれることになっていた(江戸幕府では老中に限らずたいていの役職がそうだったとか)ので江戸時代を通じて置かれていた役職なら不思議はないのでしょうが、その割には後世の記憶に残る働きをした人は少ないような。幕臣の出世の頂点といっていい地位でもあったはずなんですけどね。やはり安定重視の集団指導体制のゆえ、突出した個人による強力な政治主導がなかったからでしょうか。近現代日本の政治体制の原型を見る思いです。