Edie Brickell の "Volcano" 、2003年のアルバムですね。
Edie Brickell は80年代の終わりに Edie Brickell & New Bohemians のボーカルとしてデビューした人です。田舎の学生バンドみたいな Edie Brickell & New Bohemians はわたし、大好きでしたし、 Edie 個人に対しても同年代ということもあって妙に親近感を感じていました。
その後、彼女は Paul Simon と結婚(25歳年上!)し、New Bohemians は自然解散のような形になってしまったようです。Edie は結婚後の94年に一度ソロ・アルバムを出しており本作はそれ以来、9年振りということになるはずです。
前のソロ・アルバム "Picture Perfect Morning" では収録曲の "Good Times" の PV がなぜか Windows95 のCDにサンプルとして収められる(ビル・ゲイツがファンだったのだろうか)というような話題もあったのですが、わたしはその都会的に洗練された音が気に入らず、あまり聴きませんでした。Edie 自身は New Bohemians 時代同様魅力的でしたが、New Bohemians の適度にダサい演奏が好きだったわたしにはあっていないと感じられました。都会人のダンナがプロデュースすると聞いたときから危惧していたことだったのですが、不幸にも予想が的中してしまいました。
そのせいか、このアルバムもなかなか購入する気になれなかったのですが、昨年 Edie Brickell & New Bohemians が復活しアルバムを出したということが思い直すきっかけとなって、遅まきながら聴いてみることにしました。
このアルバムは Paul Simon のプロデュースではなく、ありがたいことに天然素材型の彼女の歌を生かすフォークよりのシンプルな演奏が主体です。New Bohemians 時代にあった学生サークルの大はしゃぎみたいな曲はなく、ジャケットの写真を連想するような落ち着いた、どちらかというと少し沈んだ雰囲気が作品を取り巻いています。そのへんは年齢相応の変化というところなんでしょうか。MP3に変換して外で聴くより、家でCDから聴く方が音の表情がずっとよく伝わってくるという作品でもありました。
もっとも彼女の声も歌い方も驚くほど変わっておらず、前作から10年近い月日が経ったことが感じられません。もともと友達とおしゃべりでもするように歌うところが好きだったので、そこが変わっていなくてよかった。
欲を言えばアルバムの顔になるような印象の強い曲が一つ二つあればもっとよかったのですが、ヤなことがあって気分がトゲトゲしていたときに聴いたら、なんだか気分が和らいで落ち着きました。佳作です。New Bohemians の新作も聴いてみようっと。