メニュー 蕭寥亭 検索

開店休業の記

今日の本

夢酔独言 他

 「夢酔独言 他」(勝小吉:著 勝部真長:編 平凡社)、読了。

 夢酔とは勝海舟のお父っつぁん・勝小吉(左衛門太郎惟寅)の号で、彼が海舟に家督を譲って隠居した後に書いた自叙伝です。

 よく知られている部分ですが、

 

 「おれほどの馬鹿な者は世の中にもあんまり有るまいとおもふ。故に孫やひこのために、はなしてきかせるが、能々不法もの、馬鹿者のいましめにするがいゝぜ。」(本文から引用)

 

 「するがいゝぜ。」って・・・。で、ずっとこの調子で続きます(笑)。当時の江戸っ子のしゃべり言葉を、どうにか体裁を整えて文章化しているような書き方で独特。それがまずおもしろいです。

 本人いわく、幼少のころから暴れ者、長じてからも喧嘩好き・素行不良の貧乏御家人で通したとか。ほんまかいなってくらい、メチャクチャなことしてます、この人は。

 曲がりなりにも天下の御直参が出奔した挙げ句に水戸家の家臣だと偽って宿屋をおどかして泊りこみ金までまきあげるとは、幕臣なんだかヤクザなんだか、よくわかりません。「いましめにするがいゝぜ。」とか言っちゃあいるけど、この類のことをえらく堂々と書き連ねていて、ホントに当人、反省しているのかしらと疑問に思えるところがまた何とも言えず(笑)。

 当時の下級武士の暮らしぶりや時代の空気もうかがえる、実はなかなか貴重な一書。