メニュー 蕭寥亭 検索

開店休業の記

今日の本

アイヌ民族の歴史

 「アイヌ民族の歴史」(榎森進:著 草風館)、読了。

 前アイヌ文化とされ7〜8世紀頃より展開したと考えられている擦文文化の時代から現代に至るまでのアイヌ民族の通史です。

 以前、アイヌ民族の歴史についての本としては近現代を扱ったものを読んでいたのですが、通史となるとこれが初めてです。アイヌ民族の通史自体あまり出版されていないようで、今まで読む機会がありませんでした。

 アイヌ民族自身が長いこと文字による記録を行わなかったこと、他民族による史料も限られていることで、ただでさえ歴史研究に困難がつきまとうと思われるのに、本書は通史ということで扱う時代範囲が非常に広く(おそらくは著者の専門外の時代も)、またかつてアイヌ民族が現在のロシア・中国領においても活動していたということを踏まえると、大変な労作と言わねばなりません。これを一人でまとめた著者の努力に敬意を表したいと思います。

 しかし、読むのはやはり辛い本でした。和人(わたしもそちら側に含まれます)の北海道への進出により、アイヌ民族が徐々に圧迫されていく姿を見なければならないからです。何を詮無き繰言を、と笑われてしまうかもしれませんが。

 2段組・600ページ超と気軽には読みにくい本ですが、読む価値はあると思います。

 それにしても、単一民族国家とはそんなに素晴らしいものなのでしょうか?