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開店休業の記

今日の本

幕末の天皇

 「幕末の天皇」(藤田覚:著 講談社)、読了。

 強い個性を持った二人の天皇、光格天皇・孝明天皇の事跡を通して、幕末期の朝幕関係を考える、というもの。幕末期に限らず、江戸時代の天皇については触れられることが少ないので、初めて知ることも多く、楽しく読めました。

 朝廷の影響力拡大が江戸期中ごろから幕府の統治能力が徐々に低落していったことと表裏一体になっていたことが感じられます。そのまま行っても遠からず幕藩体制の倒壊は免れなかったでしょうが、ペリー来航によってその動きが加速されたというところでしょうか。

 一方、天皇・朝廷の権威は尊攘派の台頭によって著しく高まったものの、その反面、生身の天皇の意思はさっぱり通らないという奇妙な現象が生じたのは皮肉としか言いようがありません。当人が目指した「君主」としての天皇と、担ごうとする側が望む「器」としての天皇とのギャップはこの時代だけではなく、日本史上何度か見られることではありますが。